アレルギー性鼻炎 (舌下免疫療法)

鼻炎の主な原因としては、風邪などの感染症と、ハウスダスト(ダニ)や花粉などのアレルゲンがあります。風邪をひいたわけでもないのに鼻炎の症状が現れる場合は、「アレルギー性鼻炎」が疑われます。アレルギー性鼻炎の原因となる「アレルゲン」は、私たちが日常生活で接触しているいろいろな動植物や室内のハウスダスト(ダニ)・カビなどです。どのようなアレルゲンに対してアレルギー反応をおこすかは人によって異なります。

アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を微量ずつ長期間にわたり投与することで、アレルギー反応を起こしにくくする免疫寛容の状態を作り出すというアレルギー免疫療法(減感作療法)のひとつです。

舌下免疫療法はアレルゲンのエキスを自分で服用するため、自宅で手軽にでき、副作用が皮下免疫療法に比べて少ないのが特徴です。 治療は1日1回、舌の下に錠剤を置き1分間そのまま含んでいただき、その後飲み込むだけです。(飲み込んだ後は5分間は飲食禁止、2時間は運動、飲酒、入浴は禁止です。)現在のところ、国内ではスギ花粉症と、ダニアレルギーによる鼻炎に対してエキスが認可され、治療が実用化されています。

 治療効果

国内で行なわれたスギ花粉症での臨床試験では、プラセボ(薬の成分のはいっていない偽薬)より有意に効果的でした。スギ花粉以外の花粉での結果ですが、海外でもプラセボより効果的であった報告が多数あります。これらの結果から、舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎に効く治療と考えられます。また、舌下免疫療法を行うと、アレルギー性鼻炎を根治できる可能性(20%弱)があります。併用する花粉症の薬の量が少なくできるのも大きな利点です。残念ながら、この治療が効かない方もいらっしゃいますが、治療前に有効性を予測することができません。

  舌下免疫療法を受けられる方

  • 6~65歳で、スギ花粉またはダニアレルギーが原因となるアレルギー性鼻炎の方
  • 一般的な投薬治療で十分な効果が得られない方
  • 運転業務に従事している等で、抗アレルギー薬の副作用で眠気が出ると困るという方
  • 将来的に妊娠を希望している方(妊娠中には開始できません)
  • 鼻炎の薬を減らしたい方

  舌下免疫療法を受けられない方

  • 妊娠されているかた、および、近いうちに妊娠希望のかた
  • 重症の喘息を合併しているかた
  • 重い心臓の病気を合併しているかた
  • 癌の治療をしているかた
  • 免疫不全などの病気の方
  • 治療で免疫抑制剤を使用しているかた
  • ベータブロッカー、三環系抗うつ薬、MAO阻害剤を服用中のかた

 副作用

スギ花粉やダニといった物質にアレルギーをお持ちの患者さんにそのエキスを投与することで治療を行いますので、当然のことながらアレルギー反応が起きる可能性があります。(とくに重篤な場合ではアナフィラキシーショックとよばれる救急搬送されるような強いアレルギー反応を生じる可能性があります。ハチ毒や食物アレルギーによる事例が有名です)

ただし、これまでの海外での実績では、舌下免疫療法にともなう重篤な副反応はきわめて稀であり、従来の注射による免疫治療よりもかなり安全とされます。(舌下免疫療法によるアナフィラキシーショックは投与100,000,000回に1回、副反応4000例のうち1例程度との報告があります。また、ショックに至るような事例は通常の服用例ではなく、過量服用や体調の悪い時が多いといわれています)

ごく軽度の副作用も含めて、次のような報告があります。

舌下免疫療法の副作用の報告

  • 腹部症状(嘔吐、腹痛、下痢など)
  • 口内、口唇のかゆみ・浮腫、感覚の異常
  • 蕁麻疹
  • 喘息発作
  • その他(耳のかゆみ、喉の炎症や違和感、くしゃみ、鼻みず、鼻詰まり、目のかゆみ、咳、喘息など)

  治療開始時期、治療期間、治療終了

治療開始可能な時期はスギ花粉とダニで異なります。

スギ花粉の場合は花粉の飛散していない時期、つまり日本では6月~11月が目安です。また、ダニは一般的にじめじめした時期、夏から秋口にアレルギー症状がひどくなることが多いので、11月~4月くらいに始めるのが無難です。

治療前にアレルギー検査の血液検査を行います。結果が出る日にお越しいただき、第1日目の治療を院内で行います。副作用がなければ2日目以降はご自宅で服用していただき、次回は7~10日目にご来院いただきます。お薬の使用に問題がなければ、その後は1か月ごとの通院となります。

一般的に舌下免疫療法では3~5年間、治療を継続することが推奨されています。数年間の治療を行い、アレルギー症状の治癒(症状が消失する)や寛解(症状が楽になる)が得られたら、いったん治療を終了することになりますが、治療を終了すると、効果が減弱して将来的にまた症状が再燃することもあります。その場合はまた舌下免疫療法を再開すると、すみやかに治療効果を得られるとの報告もなされています。治療の中断・終了は自分で判断せず、医師にご相談ください。

 治療費用

舌下免疫の治療のみで薬の処方がない場合には、医院での治療費と薬局での薬代と合わせて1ヵ月あたり2,000~2,500円程度の負担(保険適応3割負担の場合)になります。スギ花粉の飛散時期だけでなく1年を通じて治療をしますので毎月ほぼ同額の治療費となります。また、治療開始前の検査や1年に1回程度の検査が必要となり、その際にも5,000円程度の検査費負担がかかります。舌下免疫療法を行っていてもスギ花粉が飛散する時期に症状がでる可能性があります。その場合にも症状を抑える薬代などが必要になります。しかし、舌下免疫療法を行うことにより、スギ花粉飛散期の症状が軽くなれば、これまでよりも症状を抑える薬の量が減る可能性もあります。

当院で舌下免疫療法をお受けになる前にもう一度ご確認ください。

  • スギ花粉症・ダニアレルギーでお悩みですか?
  • 1ヵ月に1回の通院が必要です。通えますか?
  • 毎日舌下投与します。治療期間も年単位です。根気よく治療ができますか?
  • 根治するかたもいらっしゃいますが、効果のないかたもいらっしゃいます。全員が根治する治療でないことをご理解いただけますか?